NITE and DAY.blog

ルーチンを嫌う遊び人クリエイターKaiのシゴト観。

UI/UXデザインの方法が知りたい!という人が知っておくべき、UX改善の成功例

「髪の毛をピンクにしたまま社会人になりたくて、デザイナーになりました。」と言うと必ず「え、冗談でしょ!?」と言われますが、ホントです。遊び人クリエイタ―のKaiです。

f:id:doubleM:20170313160709j:plain

久々に、まじめにUXの話をしてみます。

この記事のターゲット
UXデザインってなにすりゃいいの!?という人向け

 

UXとUI。UI/UXデザイナーはなぜ生まれたか?

UXやヒューマンセンタードデザイン、というものが日本で話題になり始めて、3,4年。

現場でUX(ユーザー体験)やユーザビリティという言葉が囁かれ始めた頃、誰もがその方面についての知識がない中で、ただ「そこに一番近しい場所にいたから」というだけの理由で(元々設計や機能・動線を重視したデザインを行なっていた)「UIデザイナー」がその役を担った、というケースの人がけっこう居るのでは、と想像しています。

その結果、世の中にはUI/UXデザイナーなどという中途半端な肩書のデザイナーが存在することとなりました。かくいう私もその一人です。

UIとUX。両者は別物だ、と主張する人々の意見はもっともですが、個人的には UI ∈ UX(UXがUIを内包している)と解釈しています。

よくある質問「UXデザインって、どうやって創るの?」

2016年の現在でも、まだまだこの肩書をもつデザイナーは珍しいのか身の回りで「UI/UXの作り方」について質問されることが増えてきました。

質問者の多くはプランナー(企画者)やWEBマスター、プロジェクトマネージャーなど、企画を練って人を動かす立場の人や、アナリスト、あるいはマーケターさんです。「UXを考慮したUIを作るには、どういった考え方をするべきなのか」とか「本当に"正しい"デザインといえるものが存在するのか」とか、問われるのはもっぱらそういったことです。

前者に対しては
「その案件で想定されるユーザー層や、このプロダクトを使ってユーザーにどんな変化を与えたいか、あるいはどういった結果をもたらしたいか、といった前提を元に、あらゆる知識や経験を総動員して、その時のベストを判断します。そのため、どういった視点を持って、どういった考え方をするべきか、から考えるのが正解です。」といった回答になりますし

後者に対しては
「何をもって"正しい"とするのか、その基準が定まっていないかぎり、"正しい"デザインにたどり着くことはありません。そしてその基準を決めることも、ユーザビリティ向上を考える工程のひとつです。」とか「仮に"正しい"デザインにたどり着いたとしても、人の心は変わるもの。流行り廃りで、それがいずれは"正しくない"デザインになることもあります。」とか、なんとも人を喰ったというか、煙に巻くような話になりがちなんですよね。

自分で答えていても、時々「禅問答か!」と突っ込みたくなることがあります;
でも、これって仕方がないことなんです。

1を10にするのとは異なり、0を1にする作業を説明すると、概念的になりがち。

我々クリエイターという人種は、常に過去になかったモノを新しく生み出そうとしています。つまり、過去に例えるべき実例がないんです。

イノベーションに「セオリー」は、ない。

こういった質問を私に問いかける質問者は、他のあらゆる仕事と同じように、「UX」にはセオリーがあると考えている方が非常に多いです。これがそもそも、大間違いです。新しいUX創出の試みは千差万別。その時々のあらゆる要望を吸収して創る、臨機応変、変幻自在、のものだと理解していただくと良いでしょう。今日「良い」とされていた価値観が、来年には「古い」ものとして認知される。「人間中心」設計とはそういうものです。

前提として、立場が違う。

私は決して質問者を馬鹿にするつもりはありませんし、むしろ専門家だからこそ、彼らのその立場をよく理解しているつもりです。
それを踏まえて、誤解を恐れずにいいましょう。

クリエイターがやっているのは0を1にする、新しいユーザ体験(イノベーション)を生み出す作業です。
つまり、

こういったUX(ユーザー体験)を生み出すために、こういうUIを作りました。

をやろうとしているのですね。

一方でクリエイターではない彼らは、ゼロからアイデアを生み出したいわけではなく、過去の好例を真似したいのではないかと考えています。なぜなら、彼らはデザイナー以上に他者に対する「説明が必要」な立場にあるからです。

つまり、

こういうUIを作ったら、これだけ数値が改善されたという報告がありました。なので同じようなUIを作って、同様のユーザー体験をもたらしましょう。

という提案。彼らがやりたいのは、きっとこれです。

結論として彼らが知るべきなのは「ほんとうの意味でのUI/UXの作り方」ではなく、「実際に行われた過去のUX改善例」なのではないか、と考えたため、(導入が遠回りにはなりましたが)この分野の話題を集めてみました。

ここまでのまとめ

前提です。
・UIをゼロから作りたいのか、UIを真似して作りたいのか、あるいはUIを改善したいのかを分けて考えましょう。
・イノベーション*1を生み出したいのか、説明のために過去の事例が必要(=二番煎じがしたい)なのかを考えましょう

本題です。具体的な話を、しましょう。

1. ダグ・ディーツ氏が斬新な発想で小児向けMRIのUX改善を行った話。

MRIスキャナのデザイナー、ダグ/ディーツ氏はある日、自分のデザインしたスキャナを見た子供が、怯えて泣いているのを目の当たりにします。

子供が病気を抱えているだけでも大変なのに、
自分のデザインが更に子供を苦しめているなんて…。

これを悔いた彼は、子どもたちを観察するところから始め、最終的には子供が自ら喜んで入っていくようなスキャナを完成させました。

というお話です。

詳しくは元記事で:
UX設計の基礎と5つのステップ「ダグ・ディーツが小児患者とMRIにかけたデザインの魔法」に学ぶ | 株式会社LIG

類似の例を作りたければ、「子供が嫌がるもの × 子供が好きなもの」を考えると良いでしょう。たとえば(短絡的では有りますが)学校の先生が試験の日はキグルミを着て登場する、とかです。

2. IDEOの自動販売機

アメリカのデザインコンサルタント会社IDEOが地下鉄の自動販売機の売上を上げて欲しいとの依頼を受け、人間観察を開始。
最終的には自動販売機の上に時計を設置したことで売上が劇的に向上しました、というお話。

詳しくは元記事で:
行動観察のススメ | あやとり - 戦略的ウェブサイト構築集団 -

これについて書かれた本

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

類似のケースでは、例えばWEBの世界であれば ヒートマップ付きアクセス解析ツール | PtengineOptimizely: The World's Leading Experimentation Platform などの解析ツールを使って検証するような内容に当てはめられそうです。

3.フォルクスワーゲンの「ピアノの階段」

フォルクスワーゲンが企画した、(おそらく健康推進のために)「もっと階段を階段を使おう!」というキャンペーン。見た目もそのまま、「音のでるピアノの階段」を設置したところ、階段を使う人が66%増えたのだとか。これがあったら私も階段を使うでしょうね(笑)

詳しくは元記事で:
デザインの力で行動が変わる!人々を動かす粋なアイデア9選 | Creive【クリーブ】

これらのケースは割と色々あって、バスの停留所にただのベンチではなく、トレーニング器具を設置した例も聞いたことがあります。

4.言葉を変えたらチカンがいなくなった話。

「住民のみなさまのご協力で、チカンを逮捕できました。ありがとうございます。」

チカンの心理をうまくついた表現です。
詳しくは元記事で:
チカン多発地域!ある看板をつけたらチカンが発生しなくなった、そのコトバとは??|伝え方が9割|ダイヤモンド・オンライン

「トイレをいつもきれいにご利用頂きありがとうございます」と先にお礼を言ってしまう、というのも同じ原理ですね。

5. 24種類のジャムより6種類のジャムの方が購買率が高い

2000年に行われた有名な心理学の実験で、24種類のジャムと6種類のジャムでどちらがより多く購買したかを検証した実験がありました。24種類のフレーバーの場合は購買率はわずか3%でしたが、6種類の場合は購買率が30%でした。つまり、オプションが多すぎると、意思決定が難しくなることを示しています。

詳しくは元記事で:
グロースハック実践編 "Less is More" 捨てる勇気 - [Skillhub (スキルハブ)]

これは、「UIにおいては、一度に提示する選択肢を極力減らしましょう。」という文脈でよく引き合いに出される例です。

最後に

以上の例はあくまでも過去の事例ですが、こういった例をたくさん知っておくことは、きっと自分の取り組むプロジェクトへの応用に役立ちます。大事なのは、最終的な「アイデア」そのものではなく、「どういった経過を辿ってその結論に辿り着いたのか」をきちんと把握しておくことです。
グロースハックを含め、すべてのUX施策に共通するのは「観察、仮説、検証」が重要であるという点です。

こういった情報を元に、私自身も今後ますます経験を増やしていきたいなと思っています。

皆様の参考になれば幸いです。

*1:私の思想はZiba 濱口さんの「イノベーションの定義」にもとづいています